願望 (38)

W・W・ジェイコブズの「猿の手」(The Monkey's Paw)(創元推理文庫:怪奇小説傑作集1 英米編)は、願いを叶える猿の手のミイラの話である。だいぶ昔に読んだのであまり定かではないが、猿の手を入手した夫妻が金銭を願うと、息子が死亡し、その代償として富を…

甘藷 (37)

サツマイモはずるいと思う。煮たり焼いたりしただけでほぼスイーツとして完成しているからである。小豆(赤餡)、エンドウ豆(鶯餡)、インゲン豆(白餡)や栗(栗餡)などは、砂糖を加えて炊くか炊いた後砂糖を加えて、練ることにより餡になるが、サツマイモは、火…

います (36)

久し振りに蒼穹のファフナーシリーズを見ている。片手間ではあるが、設定を確認していると、あれこんな展開であったかと、忘却の彼方にあった出来事も多い。というより前回見たとき、それ程しっかり見ていなかったということであろうか。そんな中でもフェス…

今昔2 (35)

さて、放生池に向かわず、そのまま頂上の道を進むと、白壁に瓦屋根となり、建物の雰囲気が変わってくるのがわかる。左手に白壁が途切れた入り口のような所があり、中に入ると、そこは百メートル四方ほどの広場となっている。広場の北には、近代的なお寺の伽…

今昔1 (34)

名古屋の中心である栄から地下鉄東山線を東に3駅行ったところに、今池がある。「盛り場ブルース」の 栄、今池、広小路〜に出てくる今池である。地下鉄今池駅の北方面出口を出ると、少し変わった道が東北東に伸びているのがわかる。その道は歩道のような路側…

自然圏2 (33)

冒頭で述べたように、大仙陵古墳を始めとする天皇陵の多くは、築造時、葺石等で覆われ、人工的な表面を持つ構造物であったという。現在の古墳の森を構成する植物は、人が移植したものでないならば、盛り土に含まれていた根や種子、鳥や風による飛来物に由来…

自然圏1 (32)

大仙陵古墳は、二条、三条、…、七条と横切るなだらかな上り坂の先に、丘のように見える。築造当時は、葺石で覆われ、種々の埴輪が配置されていたようであるが、現在は、松などの植生があるこん盛りとした森である。年に一度か二度、夕立か前線が通過した時、…

走る (31)

寮の話である。 寮では、表向き、同学年や他学部間の、或いは先輩、後輩間の、交流、親睦をあまねく図るという目的で、実際は、男住まいに蛆が湧くではないが、ゴミや不要品が増え、不潔になりつつある各部屋をクリーニングし、リセットする目的で、年に数回…

過去へ (30)

本場所のその日の取り組みを終えた力士数人が、部屋に戻ろうと国技館を出ると突然靄が立ち込めた。何事かと思っていると目の前に木造の街並みが現れた。時代劇で見たことがあるような、そう彼らは江戸の町にタイムスリップしたのである。 昨今、ドラマや映画…

キノコ3 (29)

今回は存在感に焦点をあてたキノコの話である。 フユヤマタケ(冬山茸: Hygrophorus hypothejus)というキノコがある。初めてみたのは道の駅である。プラスティックのトレイに、傘の直径が1.5〜2.5cmほどの華奢な薄茶色のキノコが入っていた。量も少なく、調理…

編む (28)

「舟を編む」と言う作品がある。長い年月をかけて辞書を編纂する人々の熱き思いや恋愛事情が描かれており、小説、映画、アニメ等で展開され、映画は、数々の賞を受賞している。自分が見たのはアニメであったが、いつも見ているアニメとは毛色が異なり、興味…

ぬめり (27)

今回はジュンサイの話である。 ジュンサイ(蓴菜 : Brasenia schreberi)は、多年生の水生植物であり、ゼリー状のぬめりで覆われた若芽が、食材として珍重されている。日本では秋田県の三種町で主に生産されているが、梅雨明けから夏の収穫期に同地を訪れると…

縁 (26)

小学生の頃、夏の旅行を計画したことがあった。 図書館に、県ごとに名勝や物産を紹介しているシリーズ本があり、偶然手にとったのが和歌山県のものだった。当時は、まだ時代劇が多く放映されており、御三家の1つ紀州徳川家があった所ぐらいの知識で、和歌山…

寮 (25)

自分が入寮した時、寮には3人の古株がいた。 最も古いA先輩は、唯一院生の寮生であり、大柄で恰幅がよく、一度も話をしたことはなかったが、酒飲みで、寮の飲み会の時、一升瓶入りのワインを持ってきたことを覚えている。唐突であるが「TOUGH」に出てくる幽…

キノコ2 (24)

夏から秋にかけて、雨が降った翌日に、海岸沿いの松林に入ると、松の木の下の白砂や礫の上が、スギナの緑を挟みながら、紫の針でびっしりと埋め尽くされているのを見ることがある。それは、ムラサキナギナタタケ(Alloclavaria purpurea)の群生である。そのイ…

歩く (23)

以前、大学時代の寮生活のことを書いた(キノコ1 (3))。寮には主に新入生を対象とする夏場の行事があった。それは、ただひたすら歩き続けるという行事で、寮を午後に出発し、街中を通って40キロほどの道程を夜通し歩き続け、朝方、山中の目的地に到着するとい…

任務? (22)

蒼穹のファフナーシリーズからの流れであるが、竜宮島の成り立ち同様興味深いのは、島民が、フェストゥムに対抗するアルヴィス構成員としての第一種任務と、日本の平和な文化を残す第二種任務を持つという設定である。これは、少子高齢化が加速度的に進む日…

大洪水2 (21)

では、ファフナーシリーズに出てくる自律的移動要塞に近いものを、大洪水に備えて、現在の技術を用いて敢えて構築するならばどうすればよいか。自分は、その中核となるのは、アメリカのニミッツ級あるいはフォード級航空母艦ではないかと考えている。この500…

大洪水1 (20)

将来、聖書の大洪水のような海面上昇があり、人類が長期間、海洋で生存せざるを得なくなった場合(可能性の話であるが)、そこで使用する船や基地に関し、触発されるアニメがある。それは、蒼穹のファフナーシリーズである。 詳細な設定は、Wiki等を参照して頂…

にぎる? (19)

バイオを含め様々な分野の研究者が参加した講演があった。講演後の座談会での話である。 イネは穂が実ってから、台風などの強風にさらされると、倒伏し、刈り取りが困難になったり、品質劣化を招くことがある。そのため、収量を変化させず、イネの丈のみを低…

似ている2 (18)

少し前のアニメであるが、「トワノクオン」という作品を見ていて、以前見た有名アニメにコンセプトが似ているなと感じた次第。という事で、今回はアニメの「似ている」第二弾である。 未来社会、常人を超えた特殊な能力、すなわち異能を持った人間が、本人が…

珈琲 (17)

インスタントコーヒーを飲むとき、よく思う事がある。 ルイ・フェルディナン・セリーヌ(Louis-Ferdinand Céline)は、その独特の文体や反ユダヤ思想で有名な、両大戦期、戦後にかけて活躍したフランス人作家である。大学時代、初めて彼の代表作、「世の果てへ…

宝石的2 (16)

もう1つの男の宝石はずばりパイプである。パイプ本体の材料としては、ヒースの木の根であるブライヤーが有名であるが、もう1つ有名な材料に海泡石( Sepiolite、セピオライト)、メシャムがある。メシャムは、多孔性の含水ケイ酸鉱物であり、モース硬度2程で…

宝石的1 (15)

今回は、男の宝石について考えてみる。男の宝石〜? と聞くと、最近の若者はおしゃれだから、指輪やネックレスをしている男性も多く、そこに石がついているとか、カレッジリングやスポーツのチャンピオンリングにも宝石をあしらったものがあるし、カフスやネ…

ネット2 (14)

一帯は、細い道を挟んで、県営の木造の平屋と二階建てが八軒ほど立っており、その1つが自分の住まいである。半分ほどしか入居しておらず、打ち捨てられて結構劣化している建物もあった。スズメは道を20mほど飛び、一軒の家の敷地にある、桜の木に留まった。…

ネット1 (13)

チュンチュンチュン、スズメのお宿はどこかいな。京都の伏見稲荷大社の参道では、スズメの焼き鳥が有名であるが、そういう話ではなく、スズメと疎通がはかれたかもしれないという話である。 仕事の関係で、東北のとある町に住んでいたことがある。平屋建ての…

核融合 (12)

関西在住の折は、レーザー核融合センター(現レーザー科学研究所)の機関紙が回ってくることがあり、慣性核融合の進展に興味を持っていた。それ以前にも日経サイエンスの特集号などに、ガスタンクのような球形構造に円筒形の首と台座を取り付けた巨大な核融合…

似ている (11)

今回はアニメを見ていて、キャラや人間関係が似ているなと思ったこと。少し古いが、最近、COWBOY BEBOPを何年かぶりに見ていて、これはルパン三世一家の活動の舞台を宇宙に持って行って、大泥棒を賞金稼ぎにしたものではないかと感じたしだい。 COWBOYのスパ…

戦艦 (10)

SFアニメにおいて、MSやパワードスーツと同様、興味深いのが戦艦である。今回は、これまで見たアニメの中で、自分が、かっこいい、美しい、デザインが優れていると思った戦艦を3つ紹介してみたい。 第1は、「ゼーガペイン」に出てくるオケアノス号である。S…

暖 (9)

以前、M寮に住むY先輩の話をした。その後、アメリカに留学したY先輩は、帰省の折、一度だけ研究所に来たことがあった。そして向こうの状況を少しだけ話してくれた。 ある日のこと、その日は、研究室における自分の仕事を終え、帰宅後、食事、入浴等を済まし…