2020-01-01から1年間の記事一覧

子孫 (46)

少子化は社会や民族の維持、継続という点で切実な問題である。近年、自治体や政府はこの問題に対処する様々な手を打っているようであるが、今一つ望むべき結果を得ていないようにも思われる。今回は、ハードなものからソフトなものまで、この問題の対処法に…

香る (45)

大学時代、中学生の家庭教師をしていたことがある。新年度から週二回の一年契約であった。中学生の家は郊外の山際にあり、交通の便が悪いため、毎回、家の者が市のバスセンターまで車で迎えに来ていた。30分程かけて家に着くと、学生がいる二階の部屋に上が…

お知らせ

日頃、当ブログを閲覧頂きありがとうございます。 ブログを開始した昨年は、アクセス数も少なく、備忘録や日記のような位置付けで、淡々と文章を挙げていましたが、いつの間にか、大量のアクセスや連絡を頂くようになり、当人も驚いている次第です。 なるべ…

拳 (44)

動画投稿サイトのお薦めに、よく「北斗の拳」関係が選ばれていることがある。確かに以前、偶然見つけた同作品の纏めのような映像を、幾つか懐かしく見ていたので、心当たりはあるわけである。それらを見ていると、北斗神拳や数々の流派、そして数多の秘技、…

伊勢 (43)

江戸時代には、伊勢参りが流行り、街道沿いの旅籠は大層の賑わいを見せたという。そうなると問題になるのが旅籠における食事の準備である。当時、焼き魚は夕餉の一品として重要であったと思われるが、そのような繁忙時は、数匹分というわけにはいかず、何十…

曲 (42)

一息入れたい時は、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)の「Three Views of a Secret」をよく聴く。一瞬、芥川龍之介の「藪の中」を想起させるこの曲を、初めて聴いたのは、アルバム「The Birthday Concert」(ちなみに自分が購入した2番目のCDアルバムであ…

SF (41)

ジェイムズ. P. ホーガン(James Patrick Hogan)は、好きなSF作家の一人である。大学時代、書店で初めて「星を継ぐもの(Inherit the Stars)」を手に取り、その後、「ガニメデの優しい巨人(The Gentle Giants of Ganymede)」、「巨人たちの星(Giants' Sta…

箱 (40)

物心ついた頃には、家の中に幾つかの昆虫の標本箱があった。父と兄の採集行に、自分はいつも泣きながらついて行ったそうであるが、あまり覚えていない。父は亡くなり、兄はもはや採集を行ってはいないが、標本箱は残っている。 標本箱の中で、印象に残ってい…

青緑 (39)

夏の日のことである。大学の食堂で昼食を済ませ、建物から少し離れた所で、ヤマモモの実はもう終わったかな などと思いながら林を見ていると、目の前を、青いキラメキが走った。速くは無いのだが、何だろうと思い追っていくと、1つ2つとキラメキが多くなり…

願望 (38)

W・W・ジェイコブズの「猿の手」(The Monkey's Paw)(創元推理文庫:怪奇小説傑作集1 英米編)は、願いを叶える猿の手のミイラの話である。だいぶ昔に読んだのであまり定かではないが、猿の手を入手した夫妻が金銭を願うと、息子が死亡し、その代償として富を…

甘藷 (37)

サツマイモはずるいと思う。煮たり焼いたりしただけでほぼスイーツとして完成しているからである。小豆(赤餡)、エンドウ豆(鶯餡)、インゲン豆(白餡)や栗(栗餡)などは、砂糖を加えて炊くか炊いた後砂糖を加えて、練ることにより餡になるが、サツマイモは、火…

います (36)

久し振りに蒼穹のファフナーシリーズを見ている。片手間ではあるが、設定を確認していると、あれこんな展開であったかと、忘却の彼方にあった出来事も多い。というより前回見たとき、それ程しっかり見ていなかったということであろうか。そんな中でもフェス…

今昔2 (35)

さて、放生池に向かわず、そのまま頂上の道を進むと、白壁に瓦屋根となり、建物の雰囲気が変わってくるのがわかる。左手に白壁が途切れた入り口のような所があり、中に入ると、そこは百メートル四方ほどの広場となっている。広場の北には、近代的なお寺の伽…

今昔1 (34)

名古屋の中心である栄から地下鉄東山線を東に3駅行ったところに、今池がある。「盛り場ブルース」の 栄、今池、広小路〜に出てくる今池である。地下鉄今池駅の北方面出口を出ると、少し変わった道が東北東に伸びているのがわかる。その道は歩道のような路側…

自然圏2 (33)

冒頭で述べたように、大仙陵古墳を始めとする天皇陵の多くは、築造時、葺石等で覆われ、人工的な表面を持つ構造物であったという。現在の古墳の森を構成する植物は、人が移植したものでないならば、盛り土に含まれていた根や種子、鳥や風による飛来物に由来…

自然圏1 (32)

大仙陵古墳は、二条、三条、…、七条と横切るなだらかな上り坂の先に、丘のように見える。築造当時は、葺石で覆われ、種々の埴輪が配置されていたようであるが、現在は、松などの植生があるこん盛りとした森である。年に一度か二度、夕立か前線が通過した時、…

走る (31)

寮の話である。 寮では、表向き、同学年や他学部間の、或いは先輩、後輩間の、交流、親睦をあまねく図るという目的で、実際は、男住まいに蛆が湧くではないが、ゴミや不要品が増え、不潔になりつつある各部屋をクリーニングし、リセットする目的で、年に数回…

過去へ (30)

本場所のその日の取り組みを終えた力士数人が、部屋に戻ろうと国技館を出ると突然靄が立ち込めた。何事かと思っていると目の前に木造の街並みが現れた。時代劇で見たことがあるような、そう彼らは江戸の町にタイムスリップしたのである。 昨今、ドラマや映画…

キノコ3 (29)

今回は存在感に焦点をあてたキノコの話である。 フユヤマタケ(冬山茸: Hygrophorus hypothejus)というキノコがある。初めてみたのは道の駅である。プラスティックのトレイに、傘の直径が1.5〜2.5cmほどの華奢な薄茶色のキノコが入っていた。量も少なく、調理…

編む (28)

「舟を編む」と言う作品がある。長い年月をかけて辞書を編纂する人々の熱き思いや恋愛事情が描かれており、小説、映画、アニメ等で展開され、映画は、数々の賞を受賞している。自分が見たのはアニメであったが、いつも見ているアニメとは毛色が異なり、興味…

ぬめり (27)

今回はジュンサイの話である。 ジュンサイ(蓴菜 : Brasenia schreberi)は、多年生の水生植物であり、ゼリー状のぬめりで覆われた若芽が、食材として珍重されている。日本では秋田県の三種町で主に生産されているが、梅雨明けから夏の収穫期に同地を訪れると…

縁 (26)

小学生の頃、夏の旅行を計画したことがあった。 図書館に、県ごとに名勝や物産を紹介しているシリーズ本があり、偶然手にとったのが和歌山県のものだった。当時は、まだ時代劇が多く放映されており、御三家の1つ紀州徳川家があった所ぐらいの知識で、和歌山…

寮 (25)

自分が入寮した時、寮には3人の古株がいた。 最も古いA先輩は、唯一院生の寮生であり、大柄で恰幅がよく、一度も話をしたことはなかったが、酒飲みで、寮の飲み会の時、一升瓶入りのワインを持ってきたことを覚えている。唐突であるが「TOUGH」に出てくる幽…

キノコ2 (24)

夏から秋にかけて、雨が降った翌日に、海岸沿いの松林に入ると、松の木の下の白砂や礫の上が、スギナの緑を挟みながら、紫の針でびっしりと埋め尽くされているのを見ることがある。それは、ムラサキナギナタタケ(Alloclavaria purpurea)の群生である。そのイ…

歩く (23)

以前、大学時代の寮生活のことを書いた(キノコ1 (3))。寮には主に新入生を対象とする夏場の行事があった。それは、ただひたすら歩き続けるという行事で、寮を午後に出発し、街中を通って40キロほどの道程を夜通し歩き続け、朝方、山中の目的地に到着するとい…

任務? (22)

蒼穹のファフナーシリーズからの流れであるが、竜宮島の成り立ち同様興味深いのは、島民が、フェストゥムに対抗するアルヴィス構成員としての第一種任務と、日本の平和な文化を残す第二種任務を持つという設定である。これは、少子高齢化が加速度的に進む日…

大洪水2 (21)

では、ファフナーシリーズに出てくる自律的移動要塞に近いものを、大洪水に備えて、現在の技術を用いて敢えて構築するならばどうすればよいか。自分は、その中核となるのは、アメリカのニミッツ級あるいはフォード級航空母艦ではないかと考えている。この500…

大洪水1 (20)

将来、聖書の大洪水のような海面上昇があり、人類が長期間、海洋で生存せざるを得なくなった場合(可能性の話であるが)、そこで使用する船や基地に関し、触発されるアニメがある。それは、蒼穹のファフナーシリーズである。 詳細な設定は、Wiki等を参照して頂…

にぎる? (19)

バイオを含め様々な分野の研究者が参加した講演があった。講演後の座談会での話である。 イネは穂が実ってから、台風などの強風にさらされると、倒伏し、刈り取りが困難になったり、品質劣化を招くことがある。そのため、収量を変化させず、イネの丈のみを低…