大洪水1 (20)

  将来、聖書の大洪水のような海面上昇があり、人類が長期間、海洋で生存せざるを得なくなった場合(可能性の話であるが)、そこで使用する船や基地に関し、触発されるアニメがある。それは、蒼穹のファフナーシリーズである。

  詳細な設定は、Wiki等を参照して頂く事にして、特に興味深いのは、主人公の日常生活の場となる竜宮島である。竜宮島自体は、氷山の一角のように巨大要塞艦の海上部に僅かに作られた人工生態系であり施設である。そのいかにも瀬戸内海にありそうな漁村のある島には、二千人ほどの住民が住み、襲来者フェストゥムに対抗するアルヴィス構成員としての第一種任務と、日本の平和な文化を残すという第二種任務を持ち、日々生活を営んでいる。

  そして、人間が生活する上で必要な全ての物資、及びファフナーを含めた兵器や武装を維持する上で必要な資材が、島を乗せた巨大要塞艦で賄われている。周りは海洋であり、第二種任務が漁民である人員もいるので、魚の捕獲は問題無いであろう。では、家畜や野菜や米は?これも、竜宮島や他の島に、人口を賄えるぐらいの畑や農場があるか、要塞艦の内部に農業畜産プラントがあり、持続可能な生産を行っている可能性がある。淡水や塩、核融合発電に用いる重水素も周りが海なので問題はないであろう。

  ファフナーは科学技術の粋であるが、アルヴィスでは、フェストゥムとの戦闘で破壊された機体の修理や新たな機体の製造を行い、そして戦闘機も保有している。それら機体の構成材の成分となる金属や元素は、海中から取り出している可能性もあるが、移動要塞なので有望な海底鉱床を見つけ、採掘していることも考えられる。それら素材を板状とするために要塞艦には先進的熔鉱炉がある可能性もある。機体の修理や新造に用いる電子回路は、もちろん大量にストックがあるであろうし、アルヴィスには新回路の設計を行う専門家もいると考えられる。そしてこれらの資材を製造するための、重工業、精密工業、電子工業等のプラントやクリーンルームもすべて要塞艦に内包されていると考えることができる。

(つづく)