段階 (80)

 姿(79)に、来るべき地球外知的生命体と地球人類の接触の問題について少し触れた。その続きである。

 さて、ボイジャー或いはパイオニアのメッセージを受け取り、特異点を跳躍するような恐るべき技術により、地球近傍に到達した来訪者は、今しばらく時間をかけて、地球の体制や言語、文化について調査を行うかもしれない。その間に、疎通の手段が構築されるわけである(機械や専門家など)。

 来訪者が、疎通を図る決定をした後、最初の接触として、実際どのような状況が想定できるであろうか。「未知との遭遇」のように、どこか人跡まばらな土地で、光と音に満ちた接触を行うのか、「幼年期の終り」のように、都市上空に飛来して、電波により来訪を告げるのか、創作物の設定には事欠かないわけであるが、高等生命体である来訪者は、個人的には、上のようなある意味派手な接触は、望まないように思われる。

 例えば、NASAや米国政府の第三種接近遭遇に関連する部署に、メール、場合によっては文書などを送ることによって(当然、関係者は、まやかしと思うであろうが)、第一段階のコンタクトが取られる可能性がある。

 そして、そこには、当然、それら連絡が虚偽ではない事を示す何らかの内容が含まれている(指定した時間帯に、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡の観察野を、遮って見せるとか)。 そのようなやりとりが複数あり、一度、少人数の接触が設定されることとなる。その最初の接触の状況も多様である。

 来訪者は、地球環境下で、地球人同様に行動できるが、容姿が地球人とはかなり異なり、それをカモフラージュするような技術も、その時点では無かった場合(すなわち、ありのままである)、どこかの空軍基地内に、面会が設定されるのが順当と思われるが、地球側が来訪者の手配したビークルに乗って本船を訪れる可能性もある( SF映画を撮影するスタジオの楽屋が、一番良いという見方もある)。

                                    

                             

 接触も頻繁となり、順調に関係が深まっていくと、宇宙船に同乗し、来訪者の母星に代表団を送ることも想定できる。地球側としては、来訪者の優れた技術を伝授してもらえないか などと、多少、期待するかもしれない。しかし、来訪者は、安易な介入により技術を加速させるような事はせず(そもそも、根幹の理論を理解できない可能性がある)、自分達の接触が決起になったとしても、地球人自らの力で進歩していく事を望むように思われる。遠い場所にいる「隣人」として、見守る立場をとるわけである。

 とは言っても、優れた隣人と出会えたのに、何も教えてもらえないのは、やはり残念である。科学技術が存在する以上、表記は異なるとしても数学的概念は存在するはずであり、その専門家(いわゆる数学者のような者)も存在する可能性がある。個人的には、ミレニアム懸賞問題、例えばリーマン予想等の問題が、向こうの数学において、どのように解決、解釈されているのか、教示してもらうぐらいは、良いのではないかと思うわけである。

 

 さて、地球外知的生命体との接触、交流は、一般に静的(内密)に行われるという考えが、的を射ているとすると、過去や、現在進行形において、そのような事態が存在した、或いは存在するとしても、矛盾はない事になる。要するに、ほんの一握りの人が事実を知っており、多くの人々が、いつまでも萱の外にいるという事態である。

 そのような事態が現実に存在し、将来、何らかのきっかけにより、事実がオープンになった場合、やはり、それは、価値観や物の見方に影響を与え、人類の意識を新たな段階に移行させる、エポックな出来事になると思うわけである。

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