甘味2-1 (77)

以前、甘味のことを書いた(甘味 (8))。今回はその第二段である。とは言ってもどのように話を進めたら良いか、そこで、ネットにしばしばある 〜で打線を組んだ、という形式にのっとり、それぞれの印象や思い出について、綴ってみたい。

 

原則として、たくさん作られており、土産物売り場や、百貨店、そのお店に行けば容易に入手したり、食すことができるものに限定してある。だから、並んだり、予約したり、整理券をもらってやっと手に入る様なものはない。()内には、その菓子の主要な生産地、販売地、或いはそのお店のある都市や自治体が記されている。

 

ー 好きな和菓子で打線を組んだ、

 

1. ういろう(名古屋)

  ご存知、ういろうである。砂糖の入った米粉等の穀物粉の生地を蒸して作られる一見簡単そうで、実は歴史のある菓子である。程良い甘さともっちり感の調和がこの菓子の真骨頂で、夏などは冷蔵庫でよく冷やしておいて、厚切りを濃い煎茶とともに食すのが良い。名古屋や愛知県には、青柳、大須など二大メーカー以外にも、いろんなお店があるが、味にハズレはない様に思う。

  比較的足が早いので、購入して二、三日で消費する場合はよいが、すぐ食べなかったり、ストックしておく場合は、パック品が重宝する。抹茶や小豆餡を加えたものや、桜や柚子等のフレーバーをつけたものもあり、そのどれも美味しい。個人的には、ういろうは白に始まり白に終わると思っているが、敢えて新味を考えてみると、焦がしとか炙りはどうであろうか。白の表面に焼き目(焦げ目)を付けるわけである。

  さて、ういろうは、値段が手頃なのも良い。とは言っても、昨今の社会情勢を反映してか、じわじわと値上がりしつつあるようである。これからも庶民の手頃な甘味であって欲しいものである。

2. 赤福餅(三重)

  和菓子好きで知らない人などいない、と思う程よく知られた、銘菓である。柔らかい餅に漉し餡がたっぷりつけてあり、餡をつけた時の三つの筋が特徴的である。甘過ぎず、甘なさ過ぎず、上品な漉し餡が良い。帰郷した折には、ほぼ毎回、駅横百貨店の食品街で購入しているが、その際スタッフが、何日までにお召し上がり下さいと、注意してくれる。消費期限が短く、添加物等が入っていないということであろう。伊勢の本店では、特別な日に販売する白餡のものもあるようであるが、いつか食べてみたいものである。

3. 鶏卵素麺(福岡)

  鶏卵素麺は南蛮菓子であるが、原型が渡来してからもう何百年も経っているので、和菓子打線に入れてある。卵黄液を、高温の糖蜜液に流し入れて、麺状に搔き集める菓子である。いつか自分でも作ってみたいと甘味(8)に書いたが、氷砂糖の飽和溶液を作るのが何となく憚られ、まだ実現していない。しかし、次のような事を考えている。

  飽和した糖蜜液を用意するのではなく、卵黄液に溶かせるだけ砂糖を溶かし、卵黄の砂糖飽和液を作り、その卵液を適温の湯に流し入れ、素早く集めるという方式である。これならば、糖蜜液を用意しなくても済むし、卵黄二つ分とか三つ分とか、自分の好きな分だけ作ることができる。腑抜けた鶏卵素麺ができるか、似て非なるものができるか、はたまた、新たな菓子ができるのか興味深い所である。火を通すだけなら、油でさっと揚げるのも良いであろうが、本来の鶏卵素麺からだいぶ離れてしまうような気もする。何れにしても、そのうちやってみたいと思っている。

4. くるみ餅(堺)

  くるみ餅については、甘味(8)に書いたので参照されたい。最近は遠方へも発送してくれるようである。大阪店、東京店など出さず、30世紀になっても、本来のお店のみで、一子相伝の味を守り続けて欲しいものである。しかし、何故か、火星店はアリのような気がする。火星居住地やコロニーにおける支店である。その場合、材料は、特別枠で地球から輸送することになるのだろうか。

 

5. 納屋橋饅頭(名古屋)

  これも、甘味(8)を参照されたい。長らく、高齢の母に、平田町店のものを送って貰っていたが、いつ行っても開いていないという連絡があり、その後、系列店も含めて生産中止になったことがわかった。だから、現在入手不可能である。この特徴的な酒饅頭を、何処か復活してくれないかと願うばかりである。

  売っていないものの事をとやかく言ってもしょうがないので、名古屋で入手できる饅頭の話をもう少し。演芸の殿堂として名古屋民に親しまれてきた御園座(みそのざ)の裏手に和菓子屋さんがある。父が、そこのうす皮饅頭(山本屋菓子舗)が好物で、場所柄からか、家族の間では、御園まんじゅう などと呼んでいた。酒饅頭ではないが、うす皮に包まれて結構な量の小豆餡が入っており、美味である。うす皮は、あくまで主役の餡が広がらないようにする、障壁として存在するかのようである。

6. 大手まんぢゅう(岡山)

  岡山の銘菓(大手饅頭伊部屋)である。最近は、県庁所在地にある百貨店に常設の、全国菓子・名産品コーナーなどで、見かけることが多くなった(こんな遠隔地でも売っているのかと、びっくりすることがある)。百貨店の企業努力や、輸送手段の発達の賜物という事であろうか。丁度良い甘さの漉し餡が入った酒饅頭で、先程の納屋橋饅頭を横型とすると、いくぶん縦型であり、納屋橋饅頭ほど酒気は強くない。一つ々包んでいる紙のパッケージもかわいい。最近、初めて食べた時よりも、少し小さくなったように感じられるのだが、気のせいであろうか。