大洪水2 (21)

  では、ファフナーシリーズに出てくる自律的移動要塞に近いものを、大洪水に備えて、現在の技術を用いて敢えて構築するならばどうすればよいか。自分は、その中核となるのは、アメリカのニミッツ級あるいはフォード級航空母艦ではないかと考えている。この5000人ほどの人員を乗せ、戦闘機の運用を行う、満載排水量10万トン以上の原子力船は、長期運用における、水密性、堅牢さが実証されており、現技術における要塞艦のパーツとして最適であるように思われる。

  これら空母の基本構造を踏襲しつつ、形状を直方体として1つのユニットとし、このユニットを縦横、上下に大量に連結したものが、要塞艦の基本ベースとなる。アルヴィス要塞艦が3分割可能なように、この仮想艦も、ユニットの集合体を、幾つかの部分に分割可能とし、動力・エネルギーユニットは、それぞれの分割単位に設置し、ユニットはさらに農業プラントや工業プラント、科学プラント等に振り分けられることになる。ユニットの集合体としての基本ベースや分割艦は、外殻構造で包囲し、移動艦として形状の最適化がなされることは言うまでもない。

  さて、陸地を失った人々が、この巨大艦の内部に居住し、持続的生活を送れるとしても、それで良いのかという問題がある。やはり個人的には、日常においては、シリーズのように、日本の平和な文化を継承し、未来に残す、生活が良いのではないかという気がする(これは、ある意味、高度科学に裏打ちされた懐古的日常(近代以降であるが)の再現という側面を持っている)。

  であるとすると、巨大艦はほぼ吃水線下とし、その構造の上に人工生態系として、島を構築するという方向になる(まあシリーズと同じであるが)。巨大艦の上に着脱可能な人工岩盤を作り、その上に土砂を置き、一二階建ての住居、飲食店や和菓子屋、床屋等々の店舗、学校、スーパーや銭湯、神社やお寺、派出所などを建てるわけである。

  町並みの背後には山を作り(内部は何らかのプラントでも良い)、建物の間同様、科学プラントからもたらされた植物を移植し、天然の植生の復活を目指すことになる。神社等では、時折、祭りや縁日を催し、結婚式などを執り行うことも考えられる。すなわち、巨大艦の構成員の一部或いは多くは、艦内で仕事に就きつつも、日常は、艦上の島で、陽の光の下、ごく普通の日本の町生活を送るということになる。フェストゥムが襲来する可能性は低いので、このような巨大艦は、少なくとも海面が低下し陸地が現れ、移住が完了するまでの間継続することになる。

  今回は、現代版の箱舟について考えてみた。