バイオを含め様々な分野の研究者が参加した講演があった。講演後の座談会での話である。
イネは穂が実ってから、台風などの強風にさらされると、倒伏し、刈り取りが困難になったり、品質劣化を招くことがある。そのため、収量を変化させず、イネの丈のみを低くし、風に強い、倒伏しにくい品種を得ることができないかというコンセプトがあり、そのコンセプトに関連し、イネの矮性化の研究を行う某先生が座談会に参加していた。そして、以下のような遣り取りが続いていた。
・矮化も良いが、やはり収量を増やす事が重要ではないか、
という流れになり、そこからは話がおかしくなってきて、どなたか男性が、
・おにぎりは美味しいが、米粒が小さいので、あの大きさに握るには、炊いた米粒を多く必要とし不経済である、
と主張。そこで自分が後方から、
・では、イネの矮化を研究するよりも、米粒を大きくする、例えば小豆(あずき)や大豆(だいず)ぐらいの大きさになるような研究をした方が良いのでは、
と一言(風が吹かなくても、倒伏しそうであるが)。
それを聞いた、年配の先生が満を持して一言、
・それでもまだ握るのに面倒である。いっその事、おにぎりと同じ大きさの米粒が実るよう、品種改良すれば良い!!
ごもっとも(もう草本では無いような気もしますが)。
それを聞いた女性、
・そんなに米粒が大きいと、中まで火を通すのに時間がかかるのでは。
そうかもしれません(でも、ジャガイモなど丸のまま火を通すことがあるので、できない事ではありません)。
そして、誰かが、
・まあ、炊き上がったおにぎり大の米粒は、側面か中央にサッと切れ目を入れて、具を投入し、後は海苔で巻くだけなので、工程はだいぶ短縮されるであろう。ただ、炊いた米粒を纏めてにぎっていないので、もうおにぎりではないような気もすると。
そこまできて、全員大爆笑、与太話を楽しんだわけである。
しかし、こういう会話の中に研究に対するヒントやアイデアが隠されていることがあるのも事実である。新年を迎え、淡々と、発意していこうと思う次第である。