似ている2 (18)

  少し前のアニメであるが、「トワノクオン」という作品を見ていて、以前見た有名アニメにコンセプトが似ているなと感じた次第。という事で、今回はアニメの「似ている」第二弾である。

  未来社会、常人を超えた特殊な能力、すなわち異能を持った人間が、本人が望む望まぬにかかわらず出現していた。そのような人類は、社会にとって脅威であると考えた秘密結社オールドーは、実働機関クーストースを作り、そのような人種を探知、拉致し、闇から闇へと葬りさっていた。それを阻止し、能力者たちを保護しようと活動しているのが、そのような機関の手を逃れ、自分たちが安心して生活できる場所を確保した能力者たちの集団アトラクターである。そして、アトラクターとクーストースの間で、能力者を巡って物語が展開していくわけである。

  このアトラクター(attractor)という言葉は、物理用語でもあり、人類集団という力学系の、時間発展集合として、能力者集団が登場する、すなわち物理世界の当然の帰結として、能力者集団が出現するということを意図して使用しているようにも思われる。

  初めて「トワノクオン」を見た時、社会に出現した超能力者を保護する、先輩超能力者の活動という図式は、武宮恵子氏の「地球(テラ)へ」にコンセプトが似ていると感じた。アトラクターのリーダーである主人公クオンは、異能が発現するときは、「強殖装甲ガイバー」に出てくるゾアロードのような形態となるが、普段は、長髪のイケメン青年で、ヘアーバンドなんかしており、これは、「地球(テラ)へ」に出てくる超能力者の長、ソルジャー・ブルーにそっくりである(ただし、ブルーの場合はヘッドフォン型の補聴器であるが)。トワノクオンの作者に聞いてみないとわからないが、「地球(テラ)へ」に対する多少のオマージュがあるのかもしれない。

  「トワノクオン」の舞台は、日本の未来都市であり、能力者が救出されたり(されなかったりする)経緯が物語の主軸として展開されていくが、ソルジャー・ブルーは、多くの超能力者を救出してきたと推定されるが、実際に救出の経緯が描かれているのは、ブルーの次の長となるジョミー・マーカス・シンのみであり、舞台も地球ではない。しかし、それぞれの作品は、似たニュアンスを共有しながら、独自の特色を持つ面白いSFアニメとなっている。

  これらの作品、或いはこれらに「新世界より」を加えた作品群において(他にもあるであろうが)、奇しくも作者たちが意図した未来、「トワノクオン」の言葉を借りるならば、 人類集団のアトラクターとして、社会の中に所謂、これまでにない能力(異能、超能力等)を持った人達が出現し、1つのraceとして増大していくという内容は、興味深い視点である。今の所、自分の周囲でそのような人物を意識した事はないが、実際は、着実に増加しており、ある段階まで来るとパッと明らかになるかもしれないと少し期待するわけである。