OP&ED (4)

  アニメで本編が重要なのは言うまでもないが、オープニングとエンディングも、作品のかなり重要部分を占めている。これまで見たアニメの中で、独断と偏見により、秀逸、独創的、或は印象的であったものを三つずつ選んてみたい。

  まずはオープニング。最初このオープニングを見たとき、なんと穏やかで、芸術的なんだろうと思ったものである。それは、「蟲師」である。木々の緑、木漏れ日、そよ風といった映像を、カントリー(フォーク?)調の曲とともに流している。監督も述べているように、本編の雰囲気をある程度方向づけることになった異色のオープニングである。次のオープニングも、異色という意味では同じであるが、ある意味、前作と真逆のオープニングかもしれない。それはご存知「エルフェンリート」である。この作品のオープニングは、ラテン語で歌われる聖歌のような「LILIUM」という曲と、登場人物を埋め込んだクリムトの絵画を特徴とする。ある意味、本編の凄惨な描写と、人間を含めた生き物の業の深さを、その耽美で象徴的な映像が暗示しているように思われる。

  3番目は「REIDEEN」。いわゆるスーパーロボットものであるが、鈴木氏原作の「勇者ライディーン」も我々の世代にとってはおなじみである。このオープニングの特徴は、登場人物の一人である美人女子高生、碧乃玲をフューチャーした、水着あり自然ありの、アイドルのプロモーションフィルムのような作りになっていることである。実写で、このような動画を作ることは容易であるが、アニメで碧乃の笑い顔や愁いを帯びた表情を表現するのは、結構大変だったのではないかと思われる。そしてその映像が伴さんの「manacles」とぴったりあい、作品としての価値を高めている。多くの人が述べているように、最初このオープニングを見た人は、学園恋愛物を間違えて入手してしまったと思うかもしれない。しかし、内容は紛れも無く、スーパーロボット(正確にはロボットでは無いかもしれないが)物であり、SFなのである。

  次はエンディング。最初は「夏のあらし!」。この作品はジャンルで言えば、一応SFファンタジー系に入ると思われるが、エンディングでは主人公のあらしが、ウォークマン昭和歌謡調のパンチの聞いた曲を聞きながら踊っており、それがシルエットになっているという趣向である。それまで見た事の無いインパクトのあるエンディングである。2番目は「ローゼンメイデン」。これも有名な作品で、言わば意識を持ったアンティックドールの話である。最初の頃は、本編が終了し、いつのまにかエンディングに入る構成に違和感を覚えるが、それだけに印象に残るエンディングといえる。歌詞にヒロイン真紅の可愛らしさ、したたかさが表れているように思われる。

  三つ目は「宙のまにまに」。これは高校天文部をめぐる学園恋愛物である。自分が高校の時、天文部であったせいもあり、アニメのような女性部員はいなかったが、天体観測で遠征する内容など懐かしく見たものである。さて肝心のエンディングは、優しい曲をバックに登場人物が、星空を眺めるだけのものであるが、ストレスフルな世の中にあって、何となくほっとして良いではないか。アニメ関係者の星座がすべて示されているのも面白い。

  さて、冒頭オープニングやエンディングも作品の重要な部分を占めていると書いたが、ここまで書いてきて、やはりその思いを強くしている。先に述べた作品のオープニングやエンディングが違うものであったら、同じように楽しめただろうかと。最初の料理や最後のデザートの美味しさが、コースの印象に大きな影響を与えるということであろうか。今後も、素敵な、或いは興味深いオープニングやエンディングを見つけたら、第二弾を報告する予定である。

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