核融合2 (70)

以前、核融合 (12)に、

 

「・・・まず低温に保持された燃料ペレットを、中心点で連続的に爆縮するのは、ほぼ不可能なので、核融合燃料としての燃料ペレットの使用は放棄する。燃料は、トカマク型同様、二重水素三重水素混合気体(重水素のみでD-D反応の可能性もあり)を用いるが、高濃度で加圧(場合によっては加温も)し、原子の平均自由工程を最小化した状態で用いる。

燃料ペレットを用いないことから、爆縮の球対称性は放棄し、線対称性とする。すなわち、直線軸上、或いはわずかにくの字型に角度のついた直線軸上を逆方向から進行するレーザー光の接着点(くの字型の場合は折点)が爆縮部位となる。・・・線対称性に移行した爆縮は、広くはないが点ではない、一定面積の面(面爆と呼ぶことにする)にて行う。超高強度レーザーによる面爆を高頻度で繰り返すことにより、D-T反応によるディスク状のプラズマを発生させ、維持するというものである。

当時から、かなりの時間が経過した。その後、トピックな報道を耳にしないところを見ると、レーザー核融合は、まだ発電の緒に着いていないようである。そうこうするうちに、実現可能な核融合発電として、世の中の趨勢は、磁気閉じ込め方式に移行し、国際熱核融合ITERのプロジェクトが進行している。自分としては、エポックな進展があって、レーザー核融合発電が、さし馬のように表舞台に上がってくることを期待するわけである。」

 

というような文章を書いた。文章だけではわかりにくいので、だいぶ前の記事であるが、今回は、図を加えた前回の補足である。

 

ここに述べるのは中小型の核融合炉であり、図1に、 4タイプの装置が示されている。いずれも核融合炉中心部の大まかな概念図であり、上下、側面どちらから見たものとしても成立しうる。線対称の爆縮におけるレーザーの進入角が、BよりもAの方が浅い(光軸:青線)。炉内には、二重水素(D)と三重水素(T)が高濃度で加圧封入されている。図の左右から侵入した超高強度レーザーは、中心(太十字)で衝突し、そこに存在したDとTの一部に核融合が引き起こされる。レーザーが高速で連射されることにより、プラズマ(橙色)が連続的に生じ、レーザーのベクトル和の方向にわずかながら運動量を得て、プラズマがたなびいて行く。炉の外側に配置された電磁石の磁場により、炉の特定の位置に移動、維持されたプラズマから、ブランケット(黄色)内の物質が熱や高速中性子を受取り、発電に利用される というものである。

 

                       

 

                       

 

                       

 

                       

(図1. 本記事に述べるレーザー核融合炉の概念図. 思考順に、A type、B type1、type2、type3とある。)

 

A typeとB type1は、初期の考えで、燃料封入空間が大きく取ってある。そのため、レーザー進路にある燃料分子が衝突前のレーザーに干渉し、強度を弱める可能性がある。B type2は、それを軽減するため、燃料封入空間をコンパクトとし、さらに全体をブランケットで覆っている。B type3は、B type2の炉の形状をさらに滑らかにしたもので、断面の形状が、上部が棒状の瓢箪に似ているので、gourd typeとでも呼ぶことにする。B type3はAのようにレーザーがより浅い角度で侵入する場合においても成り立ちうる。以下はB type3を前提としている。

ブランケット内部には、熱交換、遮蔽用の加圧冷却水が循環している(出入口の記載は省略)、或いは三重水素の生産も兼ねてリチウムが存在する、または、それら要素を同時に持つ、より複雑な細管構造を含むことも考えられる。

炉は、2本のレーザーの光軸面において、図1のB type3に示されるように瓢箪形であり、ロータリーエンジンのローターハウジングの様に同じ形状で光軸面と平行に、上下に一定の厚みを持つことが考えられる。そしてその厚みの両端は、サイドハウジング様構造で閉鎖され、炉空間を形成している。同構造は、ローターハウジング様構造の両端を水平に閉鎖し、B type3図の赤破線の断面において、プラズマを保持する領域が方形となる例(図2A)や、膨らみのある構造により曲面状に閉鎖され、小判状、トラック状となるケース(図2B)が考えられる。

                         

(図2. 図1 B type3において、主にプラズマを維持する部位の断面構造(赤破線)を示している。炉の規模にもよるが、A及びBでは、炉壁-ブランケットの交換、補修を、パーツごとに行う可能性がもたらされる。一方、C及びDでは、ブランケット内の流路がシンプルとなる。)

 

これらハウジング様構造はすべて、上に述べたブランケット機能を保持することを前提とし、一部、一体構造よりなる事も想定される(図2C,D)。その場合、図2Dの炉空間は、円として設計されてもよい。これらブランケットや炉の外側には、プラズマ制御用の電磁石が配置されていることになる。

 

さて、また、何か進展があれば報告する予定である。このような機構が、レーザー核融合による発電の達成に少しでも寄与する所があればと思うばかりである。

 

( 線対称性面爆縮レーザー核融合

レーザー補助性ラインシンメトリック-プレインイムプロージョン誘導核融合 )

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